2017年9月7日

犬猫の「殺処分ゼロ」への共感、広がりを感じた二つのサミット

 
 夏の終わり、2つの「サミット」に参加した。
 
 まず、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)も共催して東京で開かれた「アニマル・ウェルフェアサミット2017」。8月27、28の2日間で約2000人が訪れ、「もっと知ろう動物のこと」「日本が目指すアニマル・ウェルフェア」を二大テーマに議論が交わされた。
 
 広島県神石高原町からも、ピースワンコのプロジェクトリーダー大西純子を含め多数が参加した。産業動物に関するセッションには、神石で牧場を経営する相馬行胤さんが登壇し、PWJとも連携して進める、乗馬などの体験プログラムを通じた共感教育について紹介した。また、殺処分問題に取り組む自治体の一つとして、町の環境衛生課の担当者が事例発表した。町とピースワンコが今年から取り組む「里守り犬」についてのセッションもあった。
 
 小池百合子東京都知事も登壇し、公約に掲げた動物殺処分ゼロに関連して「里親を見つける活動にさまざまな支援をしたい」「猫94匹(の殺処分)という不名誉な数字を減らしていく」などと語った。昨年に続いて2回目のサミットだが、動物の本性についての理解や、殺処分ゼロに対する共感が、着実に広がっているのを感じた。
 
 もう一つは、9月2、3日、PWJが主催した「ソーシャルイノベーションサミット2017 in 神石高原」。NPOのリーダーや企業経営者、メディア関係者など、各界の一線で活躍する約140人が全国から神石高原町に集まり、自然の中で昼夜を分かたず、社会のさまざまな課題を解決するための考え方やアイデアを語り合った。
 

 
 ソーシャルイノベーション(SI)とは、社会に変革をもたらすこと。今回サミットを開いたのは、「殺処分ゼロ」という大きな変革の拠点となった神石高原を、日本のSIのメッカにしたいという思いからだ。
 
 参加者の多くも、ピースワンコ事業の急速な成長や、ふるさと納税を活用した資金調達には特に強い関心を持っているようだった。2日目の朝には、モーニングプログラムとして約30人が保護施設を見学し、活動を紹介したテレビ番組の映像を見た。災害救助犬の夢之丞はやはり人気者で、見学中に姿を見せるとスマホのカメラが一斉に向けられ、さながら撮影会のようになった。
 

 
 私自身も、企業の働き方改革やネットメディアなどの最前線の話に触れ、大きな刺激を受けた。漫然と続く殺処分を何とか止めなければ、という「義憤」がピースワンコの原点だが、同じような熱い志が参加者にみなぎっていた。
 
 2つのサミットを通じて、ピースワンコに集まる視線をあらためて感じた。それは、日本社会に与えるインパクトを最大化し、効果的なイノベーションを起こすことに対する強い期待だと思う。その期待にこたえるためにも、さらに精進しなければならないと思った。
 
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