2017.05.10

お知らせ

【ピースワンコ・ジャパンからのお知らせ】『週刊新潮』5月10日発売号の記事について

5月10日発売の『週刊新潮』に、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)のピースワンコ・ジャパン事業に関する記事が掲載されました。記事の内容は、私たちの活動に疑念を生じさせようとする印象操作に満ち、誤解を生みかねないものです。また、当団体への直接の取材は掲載4日前(5月6日)の1回のみであり、短時間の取材で私たちの活動を「偽善」と決めつける報道姿勢は大変残念です。

 

以下に、記事で指摘された主な点について、事実関係を説明させていただきます。

 

1.広島県では動物愛護センターにおける安楽死が52件(2016年4月~12月)あることから、「殺処分ゼロ」が継続していないのではないか。

 

私たちは「生きる可能性のあるすべての命を救う」ため、犬を殺処分する前に必ずご連絡いただけるよう、県内の愛護センターにお願いしています。そして、ご連絡を受けた犬たちすべて(昨年一年間で943頭)を引き取っています。愛護センターの獣医師の診断により、「病気や怪我でもう助からない」として薬や注射で安楽死させる例があることは承知しています。そのうえで私たちは、助かる可能性があるのにガス室を使って無差別に行われていた犬の殺処分をすべて止め、その状態のことを「殺処分ゼロ」と呼んでいます。この方針は、私たちのホームページにも明示しています。

 

2.保護犬が増えすぎて「劣悪な」飼育環境に置かれているのではないか。数十人のスタッフで1000頭以上の犬を適切に飼育できるのか。

 

現在1200頭余りの犬を飼育していますが、約50人の専属スタッフ・獣医師に加え、ボランティア登録者が約350人おり、一日平均10人前後のボランティアの方たちが活動に従事してくれています。保護施設の運営管理で特に時間を要するのが犬舎等の清掃です。私たちは、清掃作業の一部を地元の信頼できる業者に委託しており、スタッフの負担は大幅に軽減されています。また、犬舎施設は計約2000平米、敷地は4万平米以上の広さがあり、犬舎は人手をなるべくかけずに世話ができる作りになっています。いわゆる籠のような檻に入れているわけではありません。
今の状態はまだ理想的ではないかもしれませんが、現状でも日本の保護施設のなかで相対的に良い環境だと思っています。ご見学も受け付けております。

(2017年5月25日 施設紹介映像追加) 
 

3.保護犬に一律に不妊去勢手術をしないのは、保護団体として問題ではないか。

 

◇各個体にとってベストな対応を判断しています

日本ではペットショップで販売される犬が年間約61万7000頭いる一方、約1万5000頭が殺処分されています。こうした状況を改善するには、飼い主の意識改革と、繁殖を制限する取り組みが重要です。
ただ、不妊去勢にはメリットとデメリットの両面があります。私たちの施設では、それぞれの個体にとってベストな状態を考え、必要と判断した場合に手術を施すことにしています。なお、猫については繁殖のコントロールが難しいことから、不妊去勢を第一優先とする判断をし、これまでも不妊去勢を施す方針の他団体をサポートしてきました。

 

◇施設内では隔離による繁殖制限をしています

私たちの施設では、シーズン中の雌犬を隔離することで繁殖制限を行っています。記事にはあたかも、不妊去勢手術をしていないために仔犬が150頭生まれたかのような記述がありましたが、これは事実ではありません。県の愛護センターなどから引き取った時点ですでに妊娠していた犬23頭(引き取り日の記録と出産までの妊娠期間を見れば、引き取り前に妊娠している犬であることがわかる)が仔犬を生み、それが150頭(死産を含む)になっています。私たちは、犬が施設に来た時点ですでに妊娠している場合の中絶、堕胎はしておりません。生まれてくる仔犬すべてを責任をもって飼養し、譲渡先を探しています。

 

◇譲渡後も繁殖はほぼ起こっていません

譲渡の際は、里親希望者が繁殖制限管理をきちんとできる状況かを個別に確認(家庭訪問を含む)し、繁殖制限の必要性を丁寧に説明した上で保護犬をお渡ししており、不妊去勢については里親様の意思を尊重しています。また、保護犬すべてについて神石高原町で畜犬登録を行うとともに、譲渡する犬にはマイクロチップを入れ、モニタリングできるようにしています。万が一、里親希望者の理解と環境が十分でないと判断された場合、譲渡はお断りしています。
その結果、実施中のモニタリング調査(譲渡から1年以上たった里親様264人への調査。現時点での回収率95%)によると、約97%の飼い主の犬は繁殖しておらず、繁殖したケースでも信頼できる友人等に譲渡したことが確認できています。譲渡前に飼育環境を確認していますが、残念ながら飼い犬が逃げてしまった事例は4件(1.6%)あります。私たちは、多くの飼い主の皆様が高い意識をもって飼養を継続してくださっていることに、深く感謝したいと思います。

 

 

不本意な記事掲載とはいえ、関係者の皆様や多くの支援者の方々にご心配とご迷惑をおかけしましたことを、申し訳なく存じます。
私たちは、今後とも全国的な「殺処分ゼロ」の実現に向けて着実に歩を進めたいと思います。また、丁寧な情報発信にもこれまで以上に努めていく所存です。
引き続きご理解・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

 

私たちの活動方針等につきましては、以下のページでも詳しくご説明しています。この機会に、ぜひそちらもご覧いただければ幸いです。
●活動方針:http://wanko.peace-winds.org/action_policy.html
●よくある質問(Q&A):http://wanko.peace-winds.org/faq.html
 
 
 

※犬の飼育管理をめぐる問題の経過について(2019/9/6)

 ⇒ https://wanko.peace-winds.org/news/4198
 
 

Supportご支援の方法

「里親になるのは難しい...」 という方にも、様々なご支援をいただいており、
殺処分ゼロを実現するためにはあなたのご支援が必要です。
寄付、ふるさと納税を使ったご支援、ボランティア、物品寄贈など、あなたにあった方法でご検討ください。