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保健所の犬はどうなる?日本の殺処分の実態など解説

2022/01/30

何らかの事情により、犬を飼い続けることが困難になった場合、保健所に持ち込めば引き取ってくれます。
しかし、保健所に引き取られた犬が最後どうなるのか、深く考えたことが無い人も多いでしょう。

本記事では、保健所とはどんな場所なのか、引き取られた犬がどうなるのかなどを詳しく解説します。
日本の現状を知るためにも、ぜひ参考にしてください。

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保健所とはどんなところ?

飼えなくなったペットや、飼い主不明のペットたちを引き取る保健所には、大きく分けて都道府県型と政令市型の2種類があります。

保健所は、ペットに関する業務以外にも多くの業務を行っていることを知っていますか。
まず、この見出しでは、都道府県型と政令市型のそれぞれの特徴や仕事内容などを見ていきましょう。

道府県型の保健所

都道府県型の保健所は、都道府県全体のための、広域的な住民の健康にかかわる仕事を行っています。

管内の市町村と協力して、医療機関や医師会などと調整を行い、感染症や食品衛生などの広域的業務や薬事衛生、また、精神・難病対策などの専門的な業務や、危機管理対策も都道府県型の保健所の仕事内容に含まれます。

県庁や市役所などの本庁では、保険衛生や自治体全体の健康のための計画づくりを行っています。
また、それ以外に条例の制定や予算計画なども本庁の仕事です。

都道府県型や政令市型の保健所が地域保健の維持や向上に努められるよう、各分野の企画や調整なども本庁が行います。

政令市型の保健所

都道府県型の保健所が、広域的な業務がメインであるのに対して、政令市型の保健所は地域全体の健康づくりを推進しているのが特徴的です。

都道府県型の保健所と連携した業務に加えて、がん対策や乳幼児健診などの母子健康事業・特定健診や特定保健指導などの生活習慣病対策と、その地域で暮らす住民に近い保険業務がメインとなっています。

「政令市型」とは、政令指定都市のことではなく、中核市などの保健所設置市を含めた「保健所政令市」のことを指していますので、間違えないようにしましょう。

このように、都道府県型と政令市型の保健所は、それぞれが異なる業務を行っています。
また、その業務のなかでペットの引き取りを行っていることを知っておきましょう。

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保健所に持ち込まれた犬はどうなるの?

保健所では、地域全体の健康づくりや、広域的な業務を行っている以外に、ペットなどの引き取りも行っています。

負傷したり迷子だったりした飼い主が特定できないペット以外にも、引越しや大型犬で飼えないなどの理由により、飼い主から持ち込まれたペットも多くいるのを知っていますか。

では、保健所に持ち込まれた犬は、その後どうなってしまうのでしょうか。

飼い主に飼育を継続できないか確認する

飼い主がペットを保健所に持ち込んできた場合、まず、保健所側で詳しく引き取りの理由を確認します。
保健所に持ち込まれた犬は、殺処分になる可能性がある前提で引き取るため、飼育を継続できないか話し合いを行うのです。

飼い主が犬を保健所に持ち込む理由にはさまざまなものがありますが、例えば「いうことを聞いてくれないから飼えない」ことが理由であれば、しつけ教室やドッグトレーナーなどに相談することを提案し、安易に引き取りしないよう努めています。

また、2012年に動物愛護法の改正が行われたことで、「可愛くなくなった」や「引越しで飼えなくなった」などの理由での引き取りは拒否できるようになりました。

飼い主は保健所に犬を連れて行く前に、もう一度飼い方を工夫すれば飼い続けられないか、ほかの人に相談したか十分に考えて、命を預けることの重大さと向き合いましょう。

新しい飼い主を探す

飼い主が特定できない犬や、手を尽くしても育てられないとして持ち込まれた犬は、保健所で一定期間収容されます。
収容期間は、各保健所により異なりますが、多くの場合は土日祝日を除いて一週間程度です。

そのあと、「収容動物情報」が公示され、一定の条件を満たしていれば里親希望者への譲渡、または飼い主へ返還がなされます。
また、動物保護のボランティア団体が保健所から引き出して保護し、譲渡会で里親を探すケースもあります。

ピースワンコ・ジャパンでは、2016年4月から、広島県で殺処分対象となった犬の「全頭引き取り」を行っています。
初年度1,395頭、2年目は1,816頭の犬を引き取りました。

飼い主が見つからなかった場合は殺処分される

収容期間内に新しい飼い主が見つからなかった場合、引き取られた犬たちは、各都道府県にある動物愛護センターに移送され殺処分されます。

環境省自然環境局「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、令和元年度の犬の引取り数は32,555頭、うち返還・譲渡された数は27,126頭で5,635頭が殺処分されました。

引き取られた数に対して、約2割もの犬たちが飼い主が見つかったり譲渡されたりができず、殺処分されているのが現状です。
殺処分は主に、炭酸ガスを使った窒息死や麻酔薬の注射による安楽死の方法が用いられます。

環境省の「動物の殺処分方法に関する指針」に従い、できる限り犬に苦痛を与えない方法で殺処分するよう求められていますが、コストなどの理由により、炭酸ガスを利用せざるを得ないのが現状です。

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保健所の引取り数内訳と殺処分の推移

環境省自然環境局「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」より、保健所で引き取られる犬の数や内訳について、もう少し詳しく見ていきましょう。

犬の殺処分件数は、昔と比べると今は減っていると言われていますが、本当なのでしょうか。
統計資料より殺処分件数の推移や所有者不明の割合を確認し、日本の現状を理解しましょう。

所有者不明の割合は89%

令和元年度の、犬の引取り数は32,555頭であり、そのうち飼い主からの引取り数は3,300頭、飼い主不明は29,255頭です。
1年間で引き取られた犬のうち、所有者不明の割合は89%もあることが統計資料によりわかりました。

なお、参考として猫の引取り数は53,342頭であり、飼い主からの引取り数は10,403頭、飼い主不明は42,939頭と犬よりも多いです。
犬の引取り数の内訳を、もう少し細かく見てみると、全体の引取り数のうち、幼齢の犬の割合は18%、成熟した犬の場合は82%と、成熟した犬のほうが多いこともわかりました。

小さいころは育てられたけれど、大きくなるにつれて育てるのが困難になり、保健所に引き取り依頼するケースが多いようです。

全国の犬の殺処分件数の推移

では次に、全国の犬の殺処分件数の推移について見ていきましょう。

令和元年度の殺処分件数は5,635頭、平成16年度は155,870頭であり、昔と比べると150,235頭も殺処分件数が減っていることがわかります。

しかし、令和元年度の引取り数が32,555頭であるのに対して、平成16年度の引取り数は181,167頭。殺処分件数も多いですが、犬の引取り数自体も多かったことが、統計資料によりわかりました。

犬の殺処分件数は、平成16年度より現代にかけて、年々減少傾向にあります。
しかし、それでもまだ1年間で5635頭もの犬が殺処分されている現状を、私たちは正しく理解しなくてはいけません。

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保健所に引き取られた犬は殺処分されるかもしれない

保健所に引き取られる犬のうち、約1割は飼い主から持ち込まれています。

2012年に動物愛護法の改正が行われたことにより、安易な理由での引き取りは拒否できるようになりましたが、それでも引き取りが0頭になることはありません。

保健所の引取り数、殺処分件数をゼロにするためにも、まずは私たちが保健所に引き取られた犬がどうなるのか、正しい理解をしなくてはいけないでしょう。

ピースワンコ・ジャパンでは、2016年4月から、広島県で殺処分対象となった犬の「全頭引き取り」を行っています。
そして、1頭でも多くの犬の命を救うために、「ワンだふるサポーター」の募集を行っています。

ご支援いただいたお金は、新しい家族が見つかるまでの施設費や飼育費、譲渡センターの新規開設などに活用させていただきます。
月1000円(1日約30円)から寄付できるので、ぜひご支援をお願いします。

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