2021年11月1日

保護犬をペットにしたい!その方法とは? 受け入れ時の注意点を紹介

昨今、「保護犬」という言葉を耳にする機会が増え、里親としてペットにしたいと思っている人も増加しています。そもそも保護犬とはどのようなワンコなのでしょうか。ペットショップで購入することとの違いや、里親になるまでの手順にはどういったことがあるのかを紹介します。また里親になるための必要なことについても併せて解説しましょう。

保護犬をペットとして里親になるには?

保護犬をペットとして里親になるためには、まず保護犬とはなにかをしっかり理解する必要があります。ペットショップで購入することとの違いから、もし初めて犬を飼うのであればどのような事に気を付けないといけないかも把握しましょう。老犬であっても犬種によってはとても元気ですから、毎日の散歩を確実に行える時間や体力が飼い主に求められるため、譲渡の条件にはどのようなことがあるのかも確認する必要があります。

そもそも保護犬とは?

保護犬とは、飼い主さんが飼育困難になって、動物愛護センターや保健所などの行政に保護されたワンコのこと。行政以外でも、飼い主さんやブリーダーさんが飼育困難となり、保護団体によって直接保護したワンコもいます。また、迷い犬となりそのまま飼い主が見つからないまま野良犬になってしまった野犬も。保護犬のほとんどは成犬で、純血種もいれば雑種もいて、年齢も性格も様々です。

ペットショップで買う場合となにが違う?

ペットショップで出会えるワンコはほとんどが純血種の子犬です。保護犬にも純血種はいますが雑種が多いのが特徴。また子犬もいますが成犬やシニア犬がほとんどです。また一緒に住むことができるタイミングはペットショップの場合、多くは出会ったその日から一緒に暮らすことができます。保護犬はお試しで一緒に暮らす期間が必要であることが多く、一緒に住めるまでの工程が長くなります。保護犬の間違ったイメージに「虐待されて性格が悪くない?」「保護犬は汚くない?」というものがあったり、ペットショップの方がより手軽な印象があったりするかもしれません。しかし、保護犬はは保護団体のスタッフがある程度一緒に過ごしているため、ワンコの性格を把握していることが多く、飼い主さんのライフスタイルとのマッチング率も高いことが特徴。また保護施設は衛生管理が徹底されており、非常に清潔な状態が保たれているので、こういった心配は杞憂であるといえるでしょう。

初めて保護犬を飼う場合に気を付けないといけないことは?

保護団体のシェルターであったり、一時預かりだったりを経由して住む場所が安定しなかった過去を持つ保護犬が少なからずいるのが事実です。住む場所が安定しないまま新しい里親さんに迎え入れられると、慣れるまでの脱走する可能性があります。脱走防止策として柵やリードを二重にするなどの工夫が必要です。「保護犬はかわいそう」という気持ちは、引き取った瞬間にリセットしましょう。今日からは家族としてワンコにまったく新しい生活を送ってもらうという覚悟が必要です。ワンコに「新しい飼い主だ」と認められる過程にも保護犬を迎える醍醐味があるといえるでしょう。

保護犬を引き取る条件は?

保護犬を引き取る上での条件は自治体によって異なります。例えば、東京都であれば、最期まで責任を持って一緒に過ごすことができる、経済的・時間的に余裕がある、事前の譲渡講習会を受講しているなどが定められています。時間的な余裕がある、ということは散歩の時間が十分に確保できるこということ。ワンコは基本的に留守番が苦手ですので長時間一匹で過ごすようなことがない家庭であることが求められます。

 

出典:東京都動物愛護相談センターwebサイト『飼い主になるための条件は?』

 

保護犬をペットにするまでの流れ:インターネット募集

具体的に保護犬をペットにするまでの流れについて確認しましょう。インターネットで飼い主や保護団体と接触して、ワンコと対面し、必要な手続きを行います。下記は一般的な団体などの流れです。

01:サイトの応募フォーム入力

Webサイトでお気に入りのワンコが見つかったら、里親募集の譲渡条件を確認して、申し込みの応募フォームに必要事項を入力します。申し込み後、応募先から連絡があるため対面の日時を設定しましょう。相手が個人の場合はメールだけでやり取りを完結しないことが重要です。必ず電話で直接話し、対面するまでに密接なコミュニケーションを図ることで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

02:保護犬との対面

設定した日時に実際に保護犬と対面します。対面場所は「譲渡スポット」を使うと安心です。「譲渡スポット」というのは、全国のドックカフェやペット関連施設の協力でも設けられた場所。保護犬の引き渡しを安全に行うための場所として提供されています。この対面時にワンコを世話してきた飼い主さんや、保護団体のスタッフの方から、性格や生活のことなどについて詳しく聞くようにしましょう。

03:家庭訪問

対面が終わったら、保護団体の場合、引き取り希望者と団体スタッフで本当にワンコが幸せになれるかを検討し、条件などが合致すれば、家庭訪問の段取りに進みます。引き取り希望者の自宅へ保護団体スタッフが伺い、保護犬が生活するスペースが十分にあるかなどの確認を行います。譲渡する相手が個人の場合は対面後すぐにトライアルに進むことがほとんどだといえるでしょう。

04:トライアル

実際に保護犬と一緒に生活するトライアル期間は団体などによって異なりますが、おおよそ2週間程度が多いでしょう。一緒に生活することでワンコの状態はもちろん、引き取り希望者の方にとってもストレスがないか、状況を把握します。

05:マイクロチップの登録

トライアルが終了し、引き取りに問題がなければそのまま一緒に暮らし始めます。マイクロチップの登録とワクチン、ノミ・ダニ駆除を行い、引き取りは完了です。

保護犬をペットにするまでの流れ:譲渡会

市町村単位や保護団体で定期的に開催される譲渡会の流れについて確認しましょう。引き取りまでの具体的な流れは自治体や団体ごとで若干の違いはありますが、おおよその流れを把握できるはずです。

01:譲渡会への参加

譲渡会の開催情報は環境省のWebサイトをはじめ、保護団体のWebサイト、里親募集掲示板、開催情報をまとめたWebサイトなどがあります。気になる譲渡会に参加して、希望のワンコを伝えます。

出典:環境省『譲渡会等のお知らせ』

02:マッチング

「マッチング」と呼ばれる犬との相性を見るテストを行います。集合住宅で吠えやすい犬種だったため飼い続けることができなくなった、小さい子どもがいて丁寧に扱われずワンコがストレスを感じ元気がなくなった、などのトラブルを回避するためものです。ワンコの性格と引き取る家庭の環境や相性を確認し、ワンコにストレスが発生する可能性があると判断されたときには、譲渡を断れてしまう場合もあります。

03:申請書提出

対面による相性、マッチングの相性確認を無事クリアしたら申請書を提出します。

04:家庭訪問

スタッフが引き取り希望者の自宅を訪れ、ワンコを飼育できる環境なのかを実地で確認します。

05:講習の受講と契約書記入

譲渡前の講習が準備されている所から譲り受ける場合は講習会を受講し、譲渡前講習会修了書を受け取り、契約書に記入をして契約は完了です。

06:マイクロチップの登録

マイクロチップの登録と、ワクチン摂取、ノミ・ダニ駆除を行い、保護犬の引き取りは完了です。

保護犬をペットにするときに気を付けたいこと

保護犬の里親になるために注意しておきたいことが複数あります。まず、譲渡をしたい人や団体と必ず直接会うようにすること。ワンコを引き取ることに関しての費用はなくてもマイクロチップの登録費、ワクチン接種など最低限に必要な費用が必要なことなどがあります。また、実際に保護犬を家族として迎え入れるときに「二度とワンコに悲しい思いはさせない」という強い信念を持つことがなによりも大事です。

実際にあって確認する

Webサイトの里親募集の掲示板などを利用するときに注意したいのが責任ある団体だけではないということ。個人が里親募集をしているケースもあるため、元飼い主さんとトラブルを起こす可能性も否定できません。特に金銭の授受がある場合は、犬の受け渡しと同時に、実際に会ってから行うことが重要です。心ない人による詐欺も全くないわけではありませんから、不安な場合は書面を残すことも必要でしょう。

費用を検討しておく

インターネット経由、譲渡会どちらのケースでも、マイクロチップの登録やワクチン代などの医療費、ゲージやトイレシートなどの生活必需品の購入費を合わせると、総額で5~6万円ほどは必要になってくるでしょう。去勢手術を行う場合、オスの去勢手術(入院なし)で2~3万円程度、メスの避妊手術(1泊入院)で3~5万円程度が相場ですので、事前にしっかり把握しておく必要があります。

マイクロチップの登録方法

マイクロチップとはワンコに埋め込む電子タグです。長さは長さ8~12mm程度、直径2mm程度の円筒形でアンテナとICを内蔵しています。マイクロチップを装着していれば、万が一ワンコが迷子や災害で離ればなれになり、保護された時に安心です。自治体や動物病院でマイクロチップのリーダーを使い、情報を読み取ることで飼い主さんに連絡を取ることができるようになります。耐久年数は30年ほどあり、作動に電池は必要なく、途中で交換するなどの必要もありません。一度埋め込むことで半永久的に使用可能です。費用は動物病院によって異なりますが、一般的に数千円から1万程度で、情報の登録に別途1,000円が必要になります。

保護犬を迎えるために準備しておくこと

保護犬は飼い主が変わった成犬であることが多いので、ワンコ自身が不安定な気持ちになることも少なくありません。保護犬の里親になるためには飼い主となる人の心の準備がとても大切。中にはつらい過去があるためそのことがトラウマとなり、おびえているワンコもいます。しっかりワンコと向き合い、犬の気持ちを考えてあげることがなにより重要です。そしてワンコに二度と同じ思いをさせないように、一生一緒に暮らすという強い信念と覚悟を改めて持つこと。ペットと一緒に暮らすためには当たり前のことですが、ワンコがやってくるまでの間にもう一度、「新しい家族ができる」という意識をもって、温かく迎えるようにしましょう。すでに住んでいる犬(先住犬)がいない場合は、飼うための環境作りを整えておく必要があります。ハウス、トイレ、食事、リードなどの道具はもちろん、ワンコが快適に暮らせる環境をしっかり準備しましょう。

里親になってから気をつけたいこと

里親になってからは、特に最初のうちは丁寧なケアが重要。飼いはじめてすぐに逃げ出してしまう犬もいるので要注意です。慣れるまではリードを首輪に繋げておくようにしましょう。外出時は、一般的にリードは1本であることが多いですが、2本のリードを付けておくほうがよいでしょう。また飼い始めはワンコのクセにどんなことがあるかわからないですから、注意深く接する必要があります。外出時に長い時間目を離さないといけない場合は、サークルやケージの中で待たせるようにすると、ワンコの安全を守ることにもつながります。保護団体であれば基本的にワンコに詳しいスタッフが特徴をつかんでいるため、引き渡しの際にしっかり連携し、引き取り側から詳しい特徴や注意事項を聞くぐらいの心持ちがあると良いでしょう。

ペットにするだけではない保護犬のサポートのカタチ

保護犬といえば、雑種やミックス犬をイメージする人も多いでしょう。実際その通りなのですが、実はペットショップでも上位の人気を誇る小型犬もとても多いのが現実です。ワンコを簡単に買えるようになったことから、安易な気持ちで飼い始め、また安易な気持ちで飼うことを放棄している現実もあるからです。迷子の犬や、飼い主が亡くなったなどどうしても保護しなければならなかったというワンコもいますが、動物愛護センターで預かることができる時間は有限であり、そのままでは殺処分の対象となります。家庭の事情でワンコを迎え入れることが難しい場合でも、保護犬をサポートすることは可能です。「ピースワンコ・ジャパン」では、動物愛護センターから引き取り、獣医師による健康診断やワクチン摂取などの適切な管理を行って、新しい里親さんと出会えるまでスタッフが家族の代わりとなって人慣れトレーニングを行なっています。この保護している約2,600頭の飼育(食事や医療など)には多く費用がかかります。「ワンだふるサポーター」は一日約30円から援助できますので、ぜひあなたの気持ちをサポートに繋げてみませんか?詳しくはコチラから。

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